まりんきょの音楽室(旧:まりんきょの博物館)

このブログでは、今までに聴いたり演奏したりしてきた音楽を振り返ってきました。2017 年からは楽譜もつけるようにしています。さらに、以前別のサイトで書き溜めてきたブログもこちらに統合しているので、音楽のこと以外が多くなっています。 なお、旧「まりんきょの博物館」ではどんなものがあるのだろうか、なんとか学と名付けられた分野を寄せ集めていました。

<a id="d16" name="d16">兄ちゃんにガンを飛ばした</a>

勤務先で東京湾納涼船に乗った。盛り上がった後、家路についた。東武伊勢崎線の電車の中で私は立っていた、私の目の前でうんこすわりをしている兄ちゃんがいた。電車がK駅に到着し、ドアが開いた。そのドアが閉じる瞬間、兄ちゃんは弁当屑をホームに向かって投げ捨てた。

醜い行為には行動を起こさねばならない。私は一番静かな方法を選んだ。眼鏡の奥の目からガンを飛ばした(ガン細胞を撒き散らした、という意味ではない)。相手の兄ちゃんも反応した。敵ながら天晴れ、目力がある。しばらく二人はにらみ合っていた。兄ちゃんが何か言ってきた。こちらは似非広島弁で挑んだ。「どうしたん?」、「何したん?」。短い会話がぼそぼそと続けられたあと、私はやっと言いたいことを言った。「ゴミを捨てちゃいかん。」兄ちゃんは「すいません」と謝った。

そのあと、兄ちゃんは私のベルトに挟んでいた万歩計に注目した。「万歩計ですか」「そうだ」

「太ってるんですか」余計なお世話だと思いつつ「やせるためだ」と答えた。「酒飲んでるんですか。酒止めたら」図に乗りやがって、という思いをこらえ「そうだな。酒は飲まんほうがいいな」と忠告した。これは自分のことを棚に上げている。

万歩計がなければ、あるいは見せていなければ、兄ちゃんの憤りは暴力など別の方面に向かっていたかもしれない。その意味で、私が万歩計を身につけていたのは幸いだった。この万歩計には覆いがなく、数字が直接目に触れるので恥ずかしいが、弱みをさらすのにもいいことがある。

これで会話が終わった。兄ちゃんは隣にいた友人と二言三言ことばを交わした。連中は腕を振り上げたりしていた。連中は殴りかかってるのではないかと心配をしたが、杞憂に終わった。連中はK駅から4駅離れたT駅で降りた。私はT駅で、駅を降りた兄ちゃんに向かって、列車の中から改めてガンを飛ばした。